日本分子生物学会(MBSJ)の歩みと、日本における分子生物学の歴史
研究室配属1年目の学生さんにとって、研究室内で交わされる聞きなれないワードは数知れずでしょう。とりわけ「学会」については、何となくの理解に留まっていることもあるかと思います。
今回はライフサイエンス分野最大級の学会である「日本分子生物学会」の歴史についてご紹介します。
日本最大級のライフサイエンス系学会の歴史
日本分子生物学会は1978年に約600人の会員からスタートし、現在では会員13,000名を超え、年会参加者も7,000名以上の日本最大級のライフサイエンス系学会となっています。日本のライフサイエンス系の学会でここまで急成長を遂げた学会はありません。また”分子生物学会”という学会は日本固有の学会であり、分子生物学の発祥であるアメリカにも存在しないことは興味深い点です。
分子生物学 日本における歴史と展開
分子生物学は1953年にワトソンとクリックにより遺伝物質DNAの分子構造が提唱されたとき、つまり「生物を分子レベルで解明したとき」から始まったと考えられます。
日本における分子生物学の普及は、富澤純一氏(国立遺伝学研究所 元所長)が行ったファージ講習会によるところが大きいとされています。このファージ講習会で分子生物学を学んだ研究者が中心となり発足されたのが日本分子生物学会です。分子生物学の展開としては、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授の業績であるiPS細胞を用いた再生医療・創薬への応用などが挙げられます。また、先日ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑教授の業績である”免疫チェックポイント阻害剤”のがん免疫療法への応用も、分子生物学の大きな成果です。
第41回 日本分子生物学会年会は横浜で開催
11月28日(水)〜30日(金)の日程で第41回日本分子生物学会が横浜で開催されます。「日本からオリジナリティーを発信しよう」というテーマを掲げ、多くのシンポジウムやワークショップが開催され、開催期間中は多くの来場者が訪れることが予想されます。
ライフサイエンス系の学生にとっては、分子生物学の最先端を知ることのできる絶好のチャンスとなります。是非足を運んでみては如何でしょうか?
・第41回日本分子生物学会年会