日本農芸化学会(JSBBA) 学会の発展と歴史について
ライフサイエンス分野に所属している方にとって、馴染み深い学会といえば「日本農芸化学会」です。通称、「農芸化学」と呼ばれ、学生から教員に至るまで、広く親しまれています。今回はそんな「農芸化学」の発展と歴史について紐解いていきたいと思います。
いつできた学会?
日本農芸化学会は1924年(大正13年)の7月に設立されました。初代学長は、ビタミンB1を発見したことで有名な鈴木梅太郎先生です。当時のメンバーには、東京帝国大学元総長で足尾銅山の鉱毒が毒であることを立証した古在正直先生や、根粒細菌の利用に力を注いだ麻生慶次郎先生、醸造工学の発展に寄与した高橋偵造先生など錚々たる顔ぶれが並びます。当時を代表する先生方によって支えられていました。なお、当時は農芸化学という学問は東京帝国大学にしかなく、農芸化学会イコール東京帝大の研究内容というイメージだったようです。
参考:
坂口謹一郎,「日本の農芸化学と私」.
農芸化学会の発展
農芸化学会は発足以来、農芸化学分野の基礎、応用研究の進歩を図り、現在では特にバイオサイエンス・バイオテクノロジー分野を中心とする研究者によって支えられています。研究者、技術者、学生など約10,000名、400団体により構成されており、研究対象は「生命・食糧・環境」を中心にさまざま。これらテーマが共通の研究分野として扱われ、大きく発展したのは、世界的に見てもユニークな事例であると言われています。
参考:
日本農芸化学会とは _ 公益社団法人 日本農芸化学会
機関誌「化学と生物」
農芸化学会の会員になると機関誌である「化学と生物」を年間購読することが出来ます。「化学と生物」は1964年から発刊され、現在では月次で刊行されています。食糧・生命・環境分野だけでなく、広く自然科学の中から問題を取り上げ、化学・生物的側面から解説しています。毎年、「化学と生物」シンポジウムが開催され、世界に名だたる研究者による講演も行われています。
日本農芸化学会は歴史的に見ても産学官の連携が良好に行われてきた学会で、農芸化学会の発展は日本の農芸化学分野の発展に繋がっています。最近では、地域と密接に関係した支部活動にも力を入れており、より一層の発展が期待されています。
日本農芸化学会 2018年度大会は名古屋で開催されます。開催概要や「学会を楽しむ方法」についてLab’in Newがまとめてみましたので、ぜひ下記記事も合わせてご覧ください。
・日本農芸化学会 2018年度大会の開催スケジュール・見どころをご紹介!