大学院か、就職か – 納得のキャリアを理系学生が描くためのヒント
今春卒業した大学生の就職率は98%で、3年連続で過去最高を更新しました。一方で、今や10人に1人が大学院へ進学する時代です。大学院進学か?就職か?悩めるB4の学生の皆さんには納得の行く決断を下して欲しいものです。理系学生が思い描くキャリアに一歩でも近づけるためのヒントをここでご紹介します。
悩ましい「理系の就職事情」
大学院へ進学する場合、毎年6月頃には院試の募集要項が発表されます。一方で就職する場合も6月からは経団連加盟企業の選考が開始しますので、この時点で進路について決意を固めておく必要があります。間違っても就活が上手くいかなかったから進学しようなんて考えないでください。到底間に合いませんよ。
大学院か就職か、どう決断してる?
では、何を判断基準にして進路を決めれば良いのでしょうか? まず必要なのは「己を知ること」です。改めて自分の人生設計を考えて、進みたい方向性を確認することが大事になります。方法の一つとして考えられるのは、マインドマップを用いて自分の方向性を洗い出すなどです。その方向性次第で、
- すぐに就職した方が良いのか?
- 進学して専門性を高めた方が良いのか?
がはっきり見えてくると思います。
とはいえ、その上でやはり「周りの意見も聞いてみたい…」という学生さんもいらっしゃることでしょう。
迷える学生さんが納得の行く決断を下せるよう、ここでは大学院進学と就職、それぞれの良し悪しについてまとめてみました。
大学院進学者の意見
- 専門領域を究めるのに、学部の研究室所属期間だけでは短すぎる
- 留学を経験したい
- まだ社会に出られる自信がない
- 博士課程以降もアカデミアで研究を続けるつもりである
などが挙げられます。一昔前は、学部卒だと中々就職が決まらず、時間稼ぎで大学院へ進学する人もいましたが、今は事情が違います。ゆくゆくは就職をと考えている方が大学院へ進学するメリットは、深く専門領域を研究することで、対外的にアピールできるスキルが各段に増すということです。特に企業の研究職では「院卒が必須」「研究内容を重要視する」という職種が少なくありません。デメリットとしては社会に出るまでの期間が長いことから金銭的負担が増すことと、同期が社会に出ている中、まだ学生身分で出遅れてしまったという思いが生じるなどが挙げられます。
就職者の意見
- 自分の年齢を考えると、そろそろ社会に出ておきたい
- 「学部卒」か「院卒」かが問われない就職先であれば、院へ行く必要はない
- 学費を払ってまで院進するメリットを感じられない(学部卒より2年分は出費が増える)
などが挙げられます。就職率が上がっている今こそ学生にとっては追い風になっており、より希望とする就職先へ行けるチャンスが広がっています。また社会に早く出ることで、企業内での経験値も上がり、キャリアアップも早まる可能性があります。お金を早く稼ぐことで金銭的余裕ができ、できることの幅が広がるのもメリットです。(お金のかかる趣味だけでなく、収入は『結婚』というライフイベントとも関わりが深いのです。)
デメリットとしては、スキルや意志に沿わない就職先を選び取ってしまうリスクがあることや、学生というある意味自由な身分がなくなってしまうことでしょう。
ライフサイエンス系学科の在籍者は、難関な大学受験を突破できる努力家であり精神力の持ち主と言えます。数々の授業の単位を取り終え、卒業が目の前にあるB4の学生の皆さんは、今こそ入学時の「大志」や「夢」を思い出すとき。培ってきた知識や経験を活かしたキャリアについて思いを馳せてみましょう。