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色々な聲(こえ)、人の心の様々を感じさせてくれる映画『聲の形』

先日、アニメ映画『聲の形』を観ました。『聲の形』は、大今良時さんによる日本の漫画で、最初の作品は、2011年『別冊少年マガジン』2月号に掲載されました。2015年版『このマンガがすごい!』オトコ編で第1位、『マンガ大賞2015』で第3位を獲得しています。第19回手塚治虫文化賞新生賞受賞作です。更に、全日本ろうあ連盟監修のもと道徳教材化され2015年に30分の実写DVD化、2016年には劇場版アニメーションも制作されており、今回、私が観たのは、この劇場版アニメーションになります。

私の甥っ子は、小学校5年生の後半からいじめにあい、何年もの間苦しめられた事で自閉症になり…更には、心をボロボロにされたことで、統合失調症となって、高校を中退し、依頼、監視のついた病院に閉じ込められています。もう26歳になりましたが、おそらく彼をいじめた人達は、誰一人その事実を知らないことでしょう。当時は、ちょっとしたハズミだったのかも知れませんが、それが1人の人生を奪い、何十年も経とうというのに、いまだに世話をする家族まで苦しめ続けていることを…。

怒りを何処かにぶつけたくても、償わせたくても、どうしようもないのです。甥っ子は、発作を抑えるために、強い薬を打たれることがあります。そうすると、手が震えて物をつかむのが困難になり、食べたものも喉を通らず吐き出すこともあります。何も悪い事をしていない甥っ子が、いまだに、こんな状態であることを、いじめた人達に知ってもらいたいけれど、そんな術はありません…。

映画では耳の聞こえない少女がいじめの対象となっていますが、耳の聞こえない事が話の中心ではありません。 多少のネタバレにはなりますが、物語はこんな感じです。

ある日、少女・硝子が転校生としてやって来ると、彼女はノートに綴った自己紹介で、自分の耳が聞こえないことを伝えていきます。冒頭の印象的なシーンです。 次第に聴覚障害によっていじめを受けるようになった硝子と、彼女のいじめの中心人物となった少年·将也。彼もまた、いじめが問題視されるようになると、周囲に切り捨てられ、次のいじめのターゲットとなって孤独になっていきます。

物語は、そんな2人の触れ合いを中心に展開し、人間の持つ孤独や絶望、自殺を思うまでので流れや、思いやる気持ち、自分を守ろうとする気持ち…そんな様々な思いが描かれていきます…。仲良くない人の顔は❌印をつけられるという表現は、分かりやすいものでした。

「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」の答えを作者自身が見つけ出せなかったため、「読者に意見を聞いてみたい」という気持ちで描いたそうです。また、手話通訳者でもある作者の母親からの協力もあり、劇中では手話の場面が多く描かれています。なお、題名を「聲」の字にしたのは、調べた際にそれぞれ「声と手と耳」が組み合わさってできているという説があることを知ったためであることと、「気持ちを伝える方法は声だけじゃない」という意味を込めて「聲」にしたそうです。

作者である大今さんは2008年に本作品を『週刊少年マガジン』編集部に投稿し、第80回週刊少年マガジン新人漫画賞で入選を受賞しています。当初は新人賞の副賞として『マガジンSPECIAL』2008年12月号にて掲載される予定でしたが、聴覚障害者に対するいじめをテーマにしていることなど内容の際どさから掲載が見送られてしまい、以降どこにも掲載されることなく一時「幻の作品」となっていました。

その後大今は2010年に創刊されたばかりの『別冊少年マガジン』で、『マルドゥック・スクランブル』の連載を開始し、これがヒットすると、当時の担当者の「受賞作も読者に読んでほしい」という思いから、講談社の法務部、弁護士、さらには全日本ろうあ連盟とも協議を重ね掲載される流れへとなっていったのです。この時、ろうあ連盟からは「何も変えずそのまま載せてください」という評価を受けたそうです。

オリジナル版は該当号の読者アンケートで『進撃の巨人』『惡の華』『どうぶつの国』などの連載作を抑えて1位を獲得。2013年11月15日に単行本の第1巻が発売され、数日後に重版決定。2014年11月時点で累計発行部数200万部を、映画版が公開された2016年9月時点で累計発行部数300万部を記録しています。アニメ映画の公開館数は120館と小規模だったそうですが、興収23億円を突破。第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や、第26回日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞、第20回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞などを受賞したそうです。

いじめのシーンは、本当に現実と重なる部分もあって、「なんで、こんなひどいことを」と、とても悲しい気持ちになりましたが、是非、様々な人の気持ちを理解していくために見てもらえたらと思いました。最後は、ちゃんとハッピーエンドになっていくので、その点でも、安心して最後まで観賞して欲しい映画です。自分の周りに未成年の知り合いがいたら、是非お薦めしながら、一緒に観賞してください。いじめられた甥っ子を持つ立場からもお願いしたいお薦めの映画でした。

ちなみに映画『聲の形』公式サイトには、鑑賞された大勢の人の感想も掲載されています。この世からいじめがなくなるよう、みんなが強い心の持ち主になれるよう、或いは、お互いを信じ受け入れられる世の中になることを心から望んでいます。下記が、公式サイトのURLです。

http://koenokatachi-movie.com/

※パスワードの保護を解除しました。前回出題の暗号問題回答は、次のブログに掲載しています。

 

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