科学技術映像祭文部科学大臣賞受賞作品…【曳家】
先日、『日本のチカラ』という番組で放送された【#101 上げる動かす守る ~歴史を支える土木工法・曳家(ひきや)~】の回を観ました。これが最初の放送だと思っていたら、実はこれ、賞を獲得した事で再放送されたようだったのです。その賞というのは【第59回 科学技術映像祭文部科学大臣賞】というもの。表彰式が2018年4月20日に科学技術館サイエンスホールで行われたのを記念してのことだったのか…。
この『日本のチカラ』という番組は、全国各地の 「魅力あふれる産業」 を通して地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び日本の技術力・地方創生への道を描きだす教育ドキュメンタリー番組で、実は、私は、この回が初めての視聴でした。
この《曳家(ひきや)》と呼ばれる土木工法は、"建物を解体せずに持ち上げ、移動する"という職人技で、400年以上の歴史を持ちます。現在は土地の区画整備や道路拡張など、建物の移動が余儀なくされた時に用いれられ、最近は、文化財的建造物の保存技術としても注目を浴びている物凄い技術です。
2015年には、青森県の弘前城でも曳家が用いられたとか。一軒家を曳家でというイメージしかなかった私には、御城まで曳家でできるのかと、これだけでも大変驚かされました。そして、この現場を任されたのが、山形県の曳家業者『我妻組』。社員は12人。少数精鋭の曳家職人です。
陣頭に立つのは、工事部長の石川さん42歳。石川さんには、小学生の頃に自宅を火事で無くした苦い過去があり、家族の思い出が詰まった「建物」に対して、特別な思いを持っていました。
そんな石川さん率いる我妻組の新たな仕事は、長井小学校 第一校舎の曳家です。築84年の木造校舎で国の登録有形文化財にも指定されています。横長の校舎は全長93メートル。素人からすれば、ちょっとでも歪みがあれば折れてしまうような無茶な依頼です。それでも 石川さんは誓います。「建物に染み付いている人々の記憶や歴史も一緒に動かすんだ」と。
一度目の引き上げでは階段部分が重く、歪みがあったので、修正をかけて成功へと導いていきます。建物の構造を熟知していなければできない経験と技術が活かされていきます。勿論、見事に子供たちの学び舎であり町のシンボルである、脆くなっている横長の木造建築を曳家の工法で空中に浮かべていきます。圧巻でした。この番組も、要チェックな番組の一つに加わりました。
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