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映画『ロストケア』

先日、ロストケアという映画を観ました。原作『ロスト・ケア』は、日本のサスペンス小説で、第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品でもあります。公式サイトは下記になります。

 https://lost-care.com/

どんなに私が映画の事を語っても、心情は観なければ理解できないほど深いは池があり、あらすじを知った上でも、是非観て欲しいものです。

ケアセンター八賀の職員の松山ケンイチ演じる斯波宗典は若くして白髪だらけな風貌ながらとても献身的な介護士。親切な仕事でセンターの利用者からも好感を持たれ、新人や同センターの同僚、センター長からも信頼される好人物でした。

ある日、利用者の自宅でその父親とセンター長である団元晴が亡くなっているのが発見されます。借金があり金にだらしなかったセンター長は事務所にある利用者の合鍵を持っており、窃盗目的で犯行に及び、その最中に足を滑らせて階段から落ちての事故死である可能性が濃厚な線でした。

しかし、屋内に落ちていた注射器の存在だけが不明の中、犯行近くの防犯カメラ映像から斯波がアリバイの証言と異なる行動をとっていたことが判明していきます。

彼を取り調べると、利用者が心配で利用者宅へ赴いた所、団と鉢合わせとなり、口論の末にもみ合い、階段から転落死させてしまった事を語ります。 正当防衛を主張する斯波宅の家宅捜索を行い、3年間分の介護ノートを見つけます。

それとは別にケアセンター八賀での利用者の死亡件数が県内平均よりも多いことがわかり、介護ノートと合わせて調査を行うと、斯波の休日に亡くなる事が多いことと、別の利用者宅から盗聴器を見つけたことから彼を追求すると、斯波は殺人を認めていきます。その理由は、介護している家族のためであると語ったのです。

取り調べの担当検事である長澤まさみさん演じる大友秀美に、老人殺害の人数を自供する斯波。掴んでいる人数より1人多い事に気付くと、やがて最初の1人が斯波自身の父親であることが分かっていきます。

数年前に斯波は認知症が進んで行く父親の介護のために職を辞めましたが、父親の年金だけでは食べて行けず生活保護も受けられず、困窮の果てに死にたがる父親を手にかけてしまったのです。それが、介護老人を殺すことは救いだという彼の思想の始まりでした。

斯波に親を殺された被害者の中には、幸せを掴んで斯波を庇う者もいましたが、同僚だった由紀は介護の仕事に絶望し、身体を売る商売に堕ちてしまいます。

死刑判決を受けた斯波に、自分も父を殺したと打ち明ける検事の大友秀美。彼女の両親は離婚して秀美は母親に育てられましたが、最近になって父親が連絡を試みて来たのです。でも、秀美は無視して返信しませんでした。その直後に父親は貧困の中で孤独死します。

父の死の事実から逃げ続けていましたが、最近になって父に詫びる境地に辿りついたと話す秀美。斯波も、父親を殺した後に、息子に感謝する遺書を見つけたことを思い出していました。

物語は介護の厳しさ、看られる側と看る側の苦悩、思いあう関係が過酷な環境によって壊され、孤立していく辛さ・・・それぞれの心情が巧みに描かれる映画で、是非観て欲しいとても考えさせられる映画でした。

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