世界をアップデートする”ビジョンハッカー”
NHKで今年の5月17日に放送された「ビジョンハッカー 世界をアップデートする若者たち」・・・ご覧になられましたか?
今回の主役はビジョンハッカーと言われる若者。そして、今回の話に欠かせないビル・ゲイツさんは、ご存知の通り1980年代以降、インターネットによるグローバル社会を作り上げた立役者の1人、マイクロソフト創業者です。経営から退いた現在、社会問題の解決に取り組む若者を、積極的に支援していますが、その原点は、学生時代の体験にありました。
ビル・ゲイツさん
「僕は両親が寝た後、こっそりと大学の研究室に通っていた。そこにあったコンピュータは、ものすごく大きいものだった。君たちのポケットにあるスマホの8千分の1の能力しかなかったけれど、どんな魔法が使えるのか知りたくていじりまくったんだ。何かを変えたい、良くしたいと夢中になるのは、若者の特権だよ」
新型コロナによって、グローバル資本主義が行きついた先で様々な矛盾が噴きだしている今。かつてのゲイツさんのように、社会システムを根本から変えようという若い世代が、世界各地で活躍しています。その名も“ビジョンハッカー”。スマートホンを武器にしながら、仲間や資金を集め、軽やかに行動しています。これまでの世代が解決できないままの問題に立ち向かう若者たち。今回の番組では、そんな世界各地のビジョンハッカーを追っていました。
ビル・ゲイツさん
「私は、世界を変える若者たちに注目しています」
<ビジョンハッカーとは>
新型コロナの流行は、グローバル資本主義が抱える様々な矛盾をむき出しにしました。コンピュータソフト『ウインドウズ』を世界中に広め、グローバル資本主義を支えるインフラを作り上げた、ビル・ゲイツさん。絶頂期を迎えていた2000年、財団を設立します。きっかけは、アフリカなどで見た格差社会の現実でした。
ビル・ゲイツさん
「私はアフリカやインドで数百万人の子どもたちが、普通なら防げるはずの感染症で死んでいくことを知りました。貧しい国の子どもたちにワクチンを接種できるよう、公衆衛生を広めなければならないと痛感したのです」
グローバル化によって広がる一方の経済格差が、そのまま命の格差につながっていることを目の当たりにしたゲイツ氏。『資本主義は人々を豊かにし、良いこともしてくれたけど、格差も拡大させた』とメディアのインタビューで語りました。自分たちが作り出したこの状況を打ち破る存在として注目したのが、次世代の若者たちでした。様々な分野で社会変革を進めようというリーダーたちを支援。さらに日本のNPOと連携。こうした若者たちを“ビジョンハッカー”と呼び、去年からその発掘に乗り出しています。日本では、東日本大震災以降、社会課題の解決に取り組む若者が続々と登場していました。
“ビジョンハッカー”の名付け親でもある日本のNPO法人ETIC.(エティック)代表宮城治男さん(2021年5月現在)
「今の若者は社会や地域、世界が良くなっていくため、何か自分が役に立ちたいという思いがすごく強い。その思いやビジョンを実際に形にして行動していく人たちを、私達はビジョンハッカーと呼びたいという思いがあります」
ビル・ゲイツさん
「ビジョンハッカーたちの活動には目をみはります。若い人が未来を見据え、世界を見渡し、社会の大きな不公平に立ち向かうことは、本当にすばらしい」
こんな状況になる前からビル・ゲイツさんは今を予知していたかのように話していました。「1000万以上の人々が亡くなるような災害が起こるとすれば、それは戦争ではなく、強力なウイルスが原因となるでしょう」
ゲイツさんがパンデミックの危険を警告した2015年。世界の医療格差を無くしたいと活動を始めた日本人がいます。大手化粧品メーカーで商品開発をしていた酒匂真理さんです。酒匂さんは、日本の先端技術を活用して、貧しい国でも医療を平等に受けられる社会の実現を目指しています。
酒匂真理さん
「今回のような感染症は、いくら先進国でワクチンが広まって大丈夫となっても、途上国にコロナウイルスが蔓延している限り、そこで変異が起こり、ワクチンを打っても全然効かないというような状態が起こりうると思うんですね」
人口1億6000万、人口密度世界一の国、バングラデシュ(※国土面積1,000平方キロメートル以下の国を除く)。医師が不足し、マスクや手洗いといった基本的な習慣も根付いていません。そんなバングラデシュで酒匂さんが始めたのが、日本で広く行われている健康診断です。集めたデータをAI で解析。分析結果をもとに、リモートでの遠隔診療を行います。医師が不足している地域でも、正確な診断に導くことが可能になります。全世界の半分、35億人が基礎的な医療サービスを受けられていない今、この仕組みを途上国に広げ、医療改革を展開したいと、酒匂さんは考えています。
酒匂さん
「来て欲しい未来に対して働きかけると、その未来って、より一層近づくのかなと思ってるので。途上国で医療アクセスができないところってたくさんあるので、他の国にも進出したい」
ビル・ゲイツさん
「ビジョンハッカーたちは、これからどんなイノベーションを起こし、貧しい暮らしを改善してくれるのでしょう?日本のそして世界の若者たちが、世界をより良い場所に変えてくれると信じています」
"スマートホン"という無限の可能性を秘めた"武器"を手にした若者は、これまで諦められたり無視されたり、不可能と思われていた困難を切り崩して、新しい未来を作ろうとしています。せめて年老いた化石の様な人たちは、それを妨げず、応援したいものです。
※パスワードの保護を解除しました。前回出題の暗号問題回答は、次のブログに掲載しています。
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