ペンタグラム(五芒星)とヘキサグラム(六芒星)
ペンタグラム(五芒星)とヘキサグラム(六芒星)…どちらもお馴染みの星形のシンボルマークですが、何か違いはあるのでしょうか? どんな違いがあるのでしょうか?
西洋ではペンタグラム(五芒星)は「魔除け・防御の象徴」として用いられ「精神的エネルギーを安定させる働き」、「自分を守りたい」時に使われ、「無限連鎖による完全性」を表しています。ペンタグラムは、ご存知の方も多いかとは思いますが「陰陽道」の印、また「陰陽五行の図」として用いられてきました。あの安倍晴明の家紋にもなっているシンボルマークです。
「魔除け」などを、特に意識することなく一筆で書けてしまう星印…ペンタグラム(五芒星)…実はこの「一筆書きで描ける」ということも、ペンタグラム(五芒星)にパワーを与えている理由の一つなんだとか。途切れることなく描けることからペンタグラム(五芒星)とは終わりのない完全性、連鎖する完全性を示す形である、とされているのです。
太陽が「陽」、月が「陰」、光が「陽」、闇が「陰」などのように自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」に分けた古代中国の考え(陰陽思想)が「五行」の思想と結びついてできたのが「陰陽五行説」。(2018年の9月4日にも一度ブログで取りあげています。) 五行」では「陰」と「陽」ではなく、自然界を構成しているものはすべて「木・火・土・金・水」の5つの属性に分けられ、また、これらが循環することにより、あらゆるものが作り出されると考えられています。また、この5つの属性は、季節や方角、時刻、臓器、干支等、様々なものにあてはめられ、その「相生」と「相剋」により森羅万象を読み解こうとするのが「陰陽五行説」、陰陽道の基本概念となっています。
この5つの要素の循環により自然界は構成され、あらゆるものが作り出されている、とする「五行」の考えを並列的に図案化したものがペンタグラム(五芒星)となるわけです。西洋では「木・火・土・金・水」の5つではなく「水・火・地・風」の4つに霊魂や精神を表す「スピリット」が加えられた5つが世界を構成している重要なもの、と考えられています。これらを5つの頂点にあてはめシンボルとしているところは同じです。これを用い、魔術や錬金術は行われてきました。そして、この形を逆さにすれば悪魔の象徴「デヴィル・スター」、黒魔術のシンボルとなるのです。
西洋・東洋問わず古くから神秘的な力が信じられ、宗教儀式などに使われてきたペンタグラム(五芒星)ですが、金星を頂点とし、木星・水星・火星・土星の5つの星を表した古代バビロニアのものがルーツとも言われています。西洋での「金星」は占星術やおまじないなどとも関わりのあるものなのです。
一方、ヘキサグラム(六芒星)は、目には見えない魔力の宿るものとして西洋で扱われ、「精神エネルギーを強める働き」があるされ、錬金術では真の知を授けるものとし、「賢者の石」の象徴でもあります。「外に向けて働きかけたい」時には「六芒星」を使えと言ったところでしょうか。ヘキサグラム(六芒星)の星形は主に魔除けとして用いられ、伊勢神宮やその関連神社などにも多数刻まれています。また、陰陽道でのヘキサグラム(六芒星)は「晴明紋」とも呼ばれ、陰と陽の調和を表す、「△」と「▽」を組み合わせた形です。上向きの正三角形が「能動的原理」または「上昇運動」を、逆三角形になる下向きの正三角形の方が「受動的原理」または「下降運動」をそれぞれに表わしており、「相対するエネルギーの調和」を表すものとされています。
向きの違う三角形はそれぞれ正反対のエネルギー・・・上向きの三角が「陰」または「プラス」「火」「創造」を表わすのであれば、下向きのものは「陽」「マイナス」「水」「破壊」を表わす、といった相対関係にあります。そして、その対極の2つが組み合わさることで成立する星形がヘキサグラム(六芒星)。よって「相対するエネルギーの融合・調和」を意味する、とされています。
さて、西洋では魔除けのシンボルとされるヘキサグラム(六芒星)ですが、また「ダビデの星」「ソロモンの紋章」「ユダヤの星」などとも呼ばれ、ユダヤ教に由来したものとしても知られています。ユダヤ教の聖典でもある旧約聖書に登場し、イスラエルの国旗にも使われています。17世紀以降、ユダヤ人やユダヤ教を表わすシンボルとなっていますが、その由来は不明。宗教戦争に端を発する三十年戦争の際にユダヤ人民兵部隊が旗印としてダビデの星を掲げたのが始まりと言われているそうですが、興味がおありの方は調べてみては如何ですか?
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