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テーマ”人の命を奪う”…『13階段』

先日、『13階段』という映画を観ました。2001年に講談社から発行された高野和明さんの小説で、第47回江戸川乱歩賞受賞作品になります。

映画は、事故で人を死なせてしまい、実刑判決を受けていた反町隆史演じる服役囚・三上純一と、山崎努演じる定年間近の刑務官・南郷正二が、10年前に起こった殺人事件の犯人とされる死刑囚の冤罪を晴らすという事を軸に進んでいきます。

事件は、千葉県中湊郡で起こり、ベテランの保護司夫婦が惨殺されたという設定で、犯人とされる樹原亮は、事件現場近くでバイク事故を起こし意識を失っていたところを発見され、状況証拠によって犯人とされ死刑判決を受けていました。ところが、樹原自身はバイク事故の影響で「階段を上っていた」というおぼろげなこと以外、事件前後のことを思い出せず、物的証拠がまともにない中、前科者で現場近くにいたという事で死刑を求刑されたのではないかという案件。

死刑執行まであと3ヶ月という設定で、様々な人間の思いが絡み合いながら、『人の命を奪う』という重いテーマを扱っています。つい先日まで放送されていたNHKの『不惑のスクラム』というラグビーのドラマでも、事故によって人の命を奪ってしまった人の話が扱われていましたが、映画の中では、『「殺したい」と思うのと「殺す」という事は違う』というシーンもありました・・・

まだ記憶に新しい所ですが、今年2018年7月、オウム真理教の事件で死刑が確定していた教団代表の麻原彰晃ら7人の死刑執行が行われました。死刑執行については海外の主要メディアも一斉に報じ、日本の死刑制度を非難する声があいつぎました。

ヨーロッパをはじめとする国々では死刑廃止の傾向にあり、先進国で死刑があるのは日本とアメリカだけと言われていますが・・・2016年では、死刑を全面的に廃止している国、国家を暴力で破壊しようとする犯罪を除いて通常犯罪は死刑を廃止している国、法律上死刑があるが最近10年間以上死刑の執行が停止されている国を合計すると、世界の国家数単位では多数派です。

国際連合の2016年度の人口統計によると、人口が1位の中国、2位のインド、3位のアメリカ合衆国、4位のインドネシア、6位のパキスタン、7位のナイジェリア、8位のバングラデシュ、11位の日本、13位のエチオピア、14位のベトナム、15位のエジプト、17位のイラン、18位のコンゴ民主共和国、20位のタイ、世界の諸国の人口規模ランキングの上位10か国中の7か国、上位20か国中の14か国に、死刑制度があり、死刑判決と死刑執行がある国なので、死刑判決と死刑執行がある国の人口は、世界の人口規模単位では50%以上の多数派となっています。

日本やアメリカ合衆国などの、民主主義政治、政府による法治、政府による広範囲な情報公開が行われている国では、毎年の死刑判決数・死刑囚数・死刑執行数が公開されていますが、独裁政権が統治している国や、政府の法治が必要十分に機能していない国では、死刑判決数・確定死刑囚数・死刑執行数が非公開なため、詳細で正確な数値は不明となっています。皆さんは日本の『死刑制度』…どのように思いますか?

映画に戻りますが、主人公の一人、三上は、チンピラに絡まれ、突き飛ばした際に相手を死なせてしまい3年の実刑…重いものを背負った上に、死んでしまったチンピラの父親に逆恨みされてしまいます。もう一人の主人公、南郷は、仕事で実際に絞首刑のスイッチを押して、心に痛みを感じながらも死刑執行を行い、罪の意識を背負って警察の仕事を退職していきます。

南郷が死なせてしまった死刑囚とのやりとり、まもなく死刑執行がされようとしている樹原の心理描写・・・。勿論、推理小説ですから、話は意外な展開になっていくのですが、納得いかない部分もあったものの・・・物語のラストで南郷がパンのレシピ本をペラペラとめくっていった最後のページに挟まれていた物…。

映画の中では、そのシーンに対して特に説明もありませんでしたが、その僅かなカットを見た瞬間に、感動で涙がボロボロと流れてしまいました。意に反して絞首刑のスイッチを押すことになってしまった南郷の心が救われていく展開は、絶対、見逃さないようにして貰いたいと思います。

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