クラウドファンディングで地球を救う素晴らしい取り組みが…
先日、NHKのBS1スペシャル「“脱プラスチック”への挑戦~持続可能な地球をめざして~」という番組を見ました。私もブログで何度か触れてきましたが、クラウドファンディングというシステムを使って資金を調達し、不可能と言われた取り組みに立ち向かっていった青年の物語です。
ボイヤン・スラットさんは、16歳で憧れのギリシャの海に潜った時、プラスチックの多さに衝撃を受け、プラスチックが海面に浮くことから17歳にして海流を利用した「The Ocean Cleanup Array」という回収装置のアイディアを思いつきます。プレゼンテーション動画をつくって世界中に配信していくとすぐに話題となり、多くの人から支持を得ることとなります。
活動はアイディアの発表だけでは終わらせることなく、2013年、18歳にしてNPOを立ち上げると、クラウドファンディングサイトでプロジェクトの資金を募ります。すると、あっという間に、160ヵ国に住む38,000人から出資があり、目標額の200万ドル以上を集めることに成功するのです。動画配信にクラウドファンディング…ネットを利用した若者らしい手法です。
プロジェクトの実現を疑問視する声もあがりましたが、彼の考え方や行動力に共感した科学者や研究者、企業経営者からボランティアの人々等の協力を受けて、プラゴミ除去の研究・開発に取り組んでいきます。わずか300ドルの元手で始めたNPOが日本円にして44億円の資金を集めて、去年秋、ついに世界初のごみ回収システムを稼働させました。
NHKでは、その6年の軌跡を通して、海が今抱えているマイクロプラスチック問題や、プラスチックがメタンガスを排出してしまうという事実まで伝えられ、温暖化との関係も明らかになっていきます。照準を合わせたのは「太平洋ごみベルト」に溜まる膨大なプラゴミ。それは、約1兆8,000億個にものぼり、重さにすると約8万トン・・・
日本はアメリカに次いで世界で2番目に多くのプラスチックゴミを排出してしまっているそうで、思えば多用され続けるレジ袋。自動販売機で簡単に手に入り捨てられていくペットボトル。コンビニやスーパーのお惣菜売り場で大活躍してしまっている発泡トレイ・・・。生活には便利で衛生的でもありますが…正直、環境の事等考えもしないで、恥ずかしい気持ちで一杯になりました。
今、ストローやレジ袋の禁止など、使い捨てのプラスチックをやめようという動きが加速しています。先日ご紹介したウミガメの鼻に刺さったストローが、血を流しながら抜かれる映像。クジラが飲み込んでしまった大量のビニール袋のせいで食べることができなくなって死んでしまうといったショッキングな映像…そんな映像の数々が世界を動かしたのですが、それだけではありません。
石油という化石燃料から作られるプラスチックは、大量生産大量消費の現代文明の象徴。実は、こうした私たちの文明そのものを、急速に“循環型”で“脱炭素”の経済に作り変えていかなければ、“地球が持たない” ほど温暖化が加速していることが背景にあるのです。
EUなどはそのことに気づいて、このパラダイムシフトをビジネスチャンスに変えようとしています。番組の後半では、どうしたらプラスチックそのものを減らすことができるのか、サーキュラー・エコノミーと呼ばれる循環型の経済をめざすビジネスの最前線が伝えられていきます。
EUが3月末、2021年から使い捨てのプラスチックの使用を禁止する法案を可決するなど、世界の規制は日本人の想像をはるかに超えるスピードで進んでいます。ニューヨークの現状や、パリに集結した世界の大企業とリサイクルメーカーの商談・・・独自の技術で世界に売り込みをかける「日本環境設計」という日本のベンチャー企業も登場してきます。
この日本の会社のビジョンは、「完全なリサイクルシステムを実現すること」。日本ではリサイクルとして集められたプラゴミの大半が、熱エネルギーとして焼却されています。実は完全なリサイクルに繋がっていないのです。この「日本環境設計」という会社はプラゴミだけでなく化学繊維の衣類まで完全なリサイクルに成功しています。
世界で二番目に多くプラゴミを排出してしまっている日本だけに、こんな会社には特に頑張って欲しいものです。国や地方公共団体が厳しい姿勢を見せ、良いことがビジネスに繋がることで、世の中の未来が明るくなるように、地球の未来を切り開く闘いを望みます。
番組の後半では、世界中の子供たちの声が映し出されます。
『私たちや共に地球で生きる仲間たちの未来を奪わないで!』
若い青年が先頭となって動いているプロジェクト、私達1人1人にも、きっとできる何かがあるはず。できることから始めたいと思います。
余談ですが、動画やクラウドファンディングを利用すれば、貧富の差なく大きなことが成し得る世の中になってきたことは、とても良い変化だと感じました。夢があれば、より実現しやすい世の中になってきたという事なのではないでしょうか。貴方のあきらめかけていた"夢"は何ですか?
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