アインシュタイン深掘りの巻…⑥死後に残された宿題
昨年2017年のノーベル物理学賞は、世界で初めて物理学の重大問題だった『重力波』の存在を実証し、相対性理論の正しさを改めて裏付け、光や電波では見えない【ブラックホール】を捉える天文学を切り開いた功績が評価され、3人の教授に授与されました。
受賞したのは米マサチューセッツ工科大のレイナー・ワイス名誉教授(85)、米カリフォルニア工科大のバリー・バリッシュ名誉教授(81)、そして、キップ・ソーン名誉教授(77)の3人。中でも面白い存在なのがキップ・ソーン名誉教授。その面白さについては、後で触れるとして…。その前に重力波とは何なのか…。
重力波というのは、ブラックホールのような大きな質量を持つものが、ある特定の運動をすることで、時間と空間(時空)が歪む現象のこと。「時空のさざ波」とも例えられ…その存在は、1916年にこのシリーズの主役であるアインシュタインが相対性理論で存在を予言していましたが、直接観測されてはいなかったものです。
その後、多くの科学者が重力波を発見しようと努力したものの、長い間実ることはなく、「アインシュタイン最後の宿題」とまで呼ばれていたのです。しかし、2015年9月14日、米国のカリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学などからなる国際研究チームが発見に成功。
アインシュタインの予言から100年後…人類はついにアインシュタインが残した最後の宿題の提出を終えることになります。改めて感じるのは、死後100年も経過しなければ解けないような宿題を出した、アインシュタインという怪物の存在でした。
余談になりますが、この重力波の研究、そして発見をめぐって、大きな役割を果たしたのが、先程も触れた理論物理学のキップ・ソーン名誉教授。ソーン教授は1940年に米国で生まれ、かの有名な理論物理学者であるスティーヴン・ホーキングや、かつて科学番組『COSMOS』の解説者を務めたことで知られる天文学者、故カール・セーガンとも長く親しい友人関係にあったそうです。
特にホーキングとは、ブラックホールの存在の有無をめぐって賭けをし、存在する方に賭けていたソーンが勝って、見事に雑誌『ペントハウス』1年分を贈られたという話です。このエピソードには、更に余談があって、大量に勝ち取った1年分の男性向けの雑誌は、その後、妻に見つかってしまい、大目玉を食らったんだとか…何とも、良い歳をして笑える話です…。
さて、話はアインシュタインに戻りますが、思考実験だけで実際の実験をしなくても済んだのは、彼の空間思考力がズバ抜けていたからだという事が、後に脳内を調べたときに分かったのです。たぐいまれなる空間思考力…どんな映像がアインシュタインの脳内に映し出されていたのか覗いてみたいものです。
脳内・・・脳みそ・・・そう、第3回でも触れましたが、ようやくその話に入らせて頂きますね・・・。「まだ続くのかって??」それゃあ、ただ者ではありませんでしたから・・・。
今年7月29日、NHKで放送された「追跡!! アインシュタインの脳 ~失われた“天才脳”の秘密に迫る~」ご覧になられましたか?『遺灰は川へ…』なのに、『失われた脳』って、どういうこと?そんな話の続きは第7回…再び姉妹サイトへ…つ・づ・く・・・
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